まずは既出のAP-7Bの左パンチを見てください。
上体を引きながらパンチを繰り出していますね。
次に、今回のAP-16の右パンチ。
同じパンチでも、AP-7Bはのけぞりながらのパンチ、
AP16は上体をグッと前に押し出しながらパンチを出しています。
こういった描き分けが出来るのは、KKの身体感覚によるものではないかと思います。
アニメーターとしての観察眼というよりは、
実際にパンチを繰り出したときの、身体が覚えている、あの感じ。
若かりしころストリートファイトで相手を打ちのめしたときの、あの感じ(笑)。
さて、このAP16の素描動画ですが、踏み込みの絵を強調するために、
2枚目と5枚目に仕掛けがあることに気付きました。
順番に見ていきましょう。
フィニッシュ(6枚目)への最短コースをたどるのであれば、
ここは反らずに、前傾姿勢になると思うのですが。
実写でパンチ映像を撮影して見比べてみなければ、
この動画の軌道が実際とどう違っているのかわかりませんが、
たぶん、2枚目と5枚目のポーズはあり得ないと思うのです。
たぶん、2枚目と5枚目のポーズはあり得ないと思うのです。
パンチのスピードは遅くなるし。
アニメーションとして必要だったのでしょうか。
ということで、2枚目と5枚目を抜いて動かしてみましょう。
うん、十分いけますね。
スピード感はあるし、キマッています。
ではなぜ2枚目と5枚目にのけぞりポーズを入れたのでしょうか
KKアニメでは、フォルムのデフォルメと同時に、
動きにもデフォルメが加えられていることがよくあります。
パンチのパターンの描き分けが身体感覚によるものだとすれば、
こういった動きのデフォルメは、
アニメーターとしての職業的なクセから来ているのかもしれません。
「もっとハデに」「もっと力強く」見せたい、というクセですね。
だから、前に向かう動きをハデに見せるために、いったんのけぞってみたり、
最後のパンチを力強く、重たくするために、ちょっと反動をつけてみたりする。
たぶん、KKは無意識のうちにやっていると思いますが、
たとえば、これが通常のアニメーション作品の制作となると、
KKが描いた原画に、2枚目と5枚目のような中割りを入れる動画マンは
なかなかいないでしょうね。
そういう意味でも、アニメーターが全部一人で作る素描動画というのは、
作家のこだわりやクセを随所に発見できて、面白いと思うのです。
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