2009-12-30

KK素描集@冬コミ 完売!

お買い上げいただいた皆様、ありがとうございました。
オープンと同時に人だかりができ、1時間で売り切れたこと、
若い女性のお客様も多かったこと、KKに報告しました。
とても喜んでおりました。

当日の様子は、ビーナイス杉田さんがブログに書いてくださっています。

コミックマーケットの会場に生まれてはじめて行きましたが、
すごい熱気に圧倒されました。
あんなにたくさんの人、いままで見たことないです。
ディズニーランドよりも、サマーソニックよりもすごかった。
ものすごい人なんだけど、騒がしいわけではなく、
笑い声とか喋り声は、あまり聞こえない。
なんというか、人数分の息づかいが合体してるかんじ。
そしてそこには「好き」という強烈な念がこもっているから、
静かなんだけど、ものすごい熱気を感じるんです。
KKの素描集も、そんな「好き」という熱がこもった人たちにのもとに届いたのだと思うと嬉しいです。

タイトなスケジュールの中で企画・編集してくださったRe:WORKS菊地武司さんに感謝です!

2009-12-26

コミケ!

来る12月29(火)、冬のコミックマーケットにKK-SPIRITブースが登場します!

コミケ。未知の世界です。わくわくです。

このたびの出展は、Re:WORKSの菊地武司さんに企画していただき、実現に至りました。
目玉はなんといっても、菊地さん編集によるKK-SPIRIT冊子です。
今回のために制作された超レアな一冊です。
ジャガーマンの素描画はもちろん、新キャラや描き下ろし作品、
ページの下の隅っこにパラパラアニメ(授業中、教科書に描いてたやつね)、
菊地氏によるKK最新インタビュー&PHOTOなど、盛りだくさんです。
ぜひ、会場でチェックしてみてください!



菊地さんには、KK-SPIRITサイト開設時より、
編集者として、また筋金入りアニメファンとしての見地から、
いろいろとアドバイスをいただいています。
僕には知らないことばかりで驚きの連続です。
そして菊地さんを紹介してくださったのが、ビーナイスの杉田龍彦さん。
いち早くKKの素描パワーを感受してくれたひと。
今後もお二人とはナイスなKK企画を打ち出していきたいと思っています。乞うご期待!

では、冬のコミケでお会いしましょう!

日時:12月29日(火曜日) 10時~16時
場所:東京ビッグサイト
ブース:東地区 ユ-30b
サークル名:KK-SPIRIT

2009-11-07

AP-27


やばいこのポーズ。カッコよすぎ!

2009-11-02

AP-18(追記)

大変です。AP-18で重大な見落としをしていました。
指に気をとられて、うっかりスルーしてしまうところでした。あぶないあぶない。
この動画には、ジャガーとアーパンの非常に細かい攻防戦が表現されていたのです。
順番に見ていきましょう。


1枚目
AP17のジャガー左パンチからの続きです。


2枚目
ジャガーは左腕を引っ込めながら


3枚目
右腕を前に出します。


4枚目
はい、ここでアーパンの動きに注目してください。
一枚目で前かがみになっていたアーパンは、
ジャガーの前に出る右腕に反応して、上体を起こしています。


5枚目
ジャガーは一度前に出した右腕を引きながら、右足キックの動作に入ります。


6枚目
ここでまたアーパンに注目。
4枚目でのけ反っていたアーパンは、
ジャガーが右腕を引く動作に合わせて、グッと前に出ます。

つまり、アーパンはジャガーの右腕に反応していたのです。
ジャガーが右腕を出したのは、フェイントだったのでしょうか。
それとも、次のキックをダイナミックに見せるための、
オーバーアクションだったのでしょうか。
どちらにしても、アーパンはジャガーの右腕に対して条件反射的に動いています。


7枚目
ここでアーパンはジャガーの脚が視界に入ったのでしょうか。
クッと肩をすくめます。


8枚目
そしてインパクト。かっこいいドローイング。珠玉の1枚!


8枚目
伸びきる脚


9枚目
飛ぶアーパン


10枚目
お約束。右肩張り。

これはジャガーマンがキックを繰り出す動画なので、
見る側としては、ジャガーに気をとられてしまいがちです。
しかしよくみると、二人のキャラクターの小さなアクションの一つ一つが、互いにちゃんと影響を及ぼし合っていることがわかります。

なぜこんなに細かい表現が出来るのか。
それはたぶん、描くときに、文字通りキャラクターの目線になっているからなのでしょう。
アーパンの顔は映っていませんが、この後ろ姿には、アーパンが何を見て、何を見落としているのか、そしてジャガーの動きまでも表現されているような気がします。

目の前にいる人間が動くのだから、その動きに対して反応するのは、当たり前といえば当たり前なのですが、きょうび、生身の人間同士でも、無反応だったりしますからね。
この動画を見てると、相手の存在をちゃんと意識できる、まっとうな人間らしさを感じます。

では、いまいちど、アーパンの前後動作に注目しながら見てみてください。




2009-10-27

AP-18






手の仕草、特に指の仕草というのは、意識がなかなか及ばないがゆえに、
人の品性があらわに見え隠れするような気がします。
「指がだらしない人」というのはあまり聞いたことがありませんが、
指の所作がやたらと綺麗な人には、生まれ持った品位を感じてしまうのです。
意外と目につく指。期待していない分、ハッとさせられる綺麗な指。
だから役者やダンサーは指の先まで意識して演技をするのでしょう。

ということで、今日は指に注目してみます。













早い動きの中ではわかりませんが、
こうして一枚ずつ見ると、それぞれ指の動きに変化がありますね。
そして、格闘シーンなのに、なんだかエレガントさが漂っています。

これら指の仕草を、KKは意識して描いたのでしょうか。
それとも生まれ持ったクセなのでしょうか。

そういえば、思い出しました。
コーヒーカップを持つKKの小指、立っていたっけ(笑)。

2009-10-14

AP-17

AP-17は僕の好きな素描動画のひとつです。
なんといっても最後の一枚が、ドローイング作品としてカッコイイ。
そしてラストカットに至るアクションも、パワフルでリズミカルです。






これ、カウンターパンチですね。
アーパンが前に出てくるところにパンチが入っている。
破壊力倍増です。

この動画の凄いところは、パンチの迫力と同時に、
硬軟織り交ぜたアクションをリズミカルに表現していることです。

まず、アーパンの動きの軌道に注目してみてください。
真っすぐジャガーに向かうのではなく、
いちど伸び上がり、山なりに弧を描きながら入っていきます。
風船のように、フワッと柔らかい動きです。
それに対しジャガーは、頭を上下させずにパンチの動作に入り、
アーパンの顔がグッと手前に入ってきたところへ、
ビシッと一直線にパンチを繰り出します。

アーパンの動きを柔らかく曲線的にすることによって、
ジャガーの硬くて直線的なパンチが、より引き立つようになっています。

パンチが入ったあとのアーパンの身体にも注目です。
首は横を向くのですが、身体は止まっています。首についていきません。
むしろ右肩はグイと中に入っています。
身体を止めることによってパンチの破壊力は強調され、
ラストカットもキマるんでしょうね。

そんなことを踏まえたうえで見てみると、
「フワッ、ズドン」というリズムでもってこの動画は出来ていることがわかります。
10枚の絵の中に、曲線と直線、硬と柔、動と静が絶妙に絡みあっています。

KKは資料映像などを見ずに、こういったアクションを描いているのですが、
もしかしたら、頭のなかでトン、トン、トン、とリズムをとっているのかもしれませんね。

2009-10-03

AP-16

今日はAP-16のパンチ素描についてお話します。

まずは既出のAP-7Bの左パンチを見てください。






上体を引きながらパンチを繰り出していますね。

次に、今回のAP-16の右パンチ。





同じパンチでも、AP-7Bはのけぞりながらのパンチ、
AP16は上体をグッと前に押し出しながらパンチを出しています。

こういった描き分けが出来るのは、KKの身体感覚によるものではないかと思います。
アニメーターとしての観察眼というよりは、
実際にパンチを繰り出したときの、身体が覚えている、あの感じ。
若かりしころストリートファイトで相手を打ちのめしたときの、あの感じ(笑)。


さて、このAP16の素描動画ですが、踏み込みの絵を強調するために、
2枚目と5枚目に仕掛けがあることに気付きました。
順番に見ていきましょう。


1枚目。得意の肩越し睨み。指の輪っかが面白い。

2枚目。踏み込む直前にのけぞりアクション。
輪っか以外の指がピンと伸びているところにも注目。

3枚目。グッと前傾姿勢に入る。同時にヒジが上がる。

4枚目。いよいよパンチを繰り出します。
胸は開き、左肩上がり。


注目の5枚目。ここでもういちど反り気味になります。
フィニッシュ(6枚目)への最短コースをたどるのであれば、
ここは反らずに、前傾姿勢になると思うのですが。


フィニッシュ。


実写でパンチ映像を撮影して見比べてみなければ、
この動画の軌道が実際とどう違っているのかわかりませんが、
たぶん、2枚目と5枚目のポーズはあり得ないと思うのです。
パンチのスピードは遅くなるし。

アニメーションとして必要だったのでしょうか。
ということで、2枚目と5枚目を抜いて動かしてみましょう。





うん、十分いけますね。

スピード感はあるし、キマッています。


ではなぜ2枚目と5枚目にのけぞりポーズを入れたのでしょうか


KKアニメでは、フォルムのデフォルメと同時に、

動きにもデフォルメが加えられていることがよくあります。

パンチのパターンの描き分けが身体感覚によるものだとすれば、

こういった動きのデフォルメは、

アニメーターとしての職業的なクセから来ているのかもしれません。

「もっとハデに」「もっと力強く」見せたい、というクセですね。

だから、前に向かう動きをハデに見せるために、いったんのけぞってみたり、

最後のパンチを力強く、重たくするために、ちょっと反動をつけてみたりする。


たぶん、KKは無意識のうちにやっていると思いますが、

たとえば、これが通常のアニメーション作品の制作となると、

KKが描いた原画に、2枚目と5枚目のような中割りを入れる動画マンは

なかなかいないでしょうね。

そういう意味でも、アニメーターが全部一人で作る素描動画というのは、

作家のこだわりやクセを随所に発見できて、面白いと思うのです。

2009-09-25

サイボーグ009 オープニング(1968年)



このオープニングアニメーションは、もう40年も前のテレビアニメ作品ですが、

KKはキャラクターデザイン、作画監督、そしてすべての原画を担当しました。


009のマフラーのしなりがいい!ビームのエフェクト表現がいい!

というアニメファンの方の感想をこれまでに何度か聞きました。

うーむ、たしかに格好いい。


僕はイラストレーターなので、やはり一枚絵としての出来映えに興味があります。

ここではフォルムに着目してみたいと思います。


KKの作画、アニメートは「」に特徴があると思います。

肩をいからせたり、すくめてみたり、どちらかの肩が上がっていたり。


この動画でいうと、

0:009→004のビーム発射のときのポーズ(肩越しの顔)

0:15→009のポーズ(左肩が身体の内側にグッと入る、右肩上がり)

0:53→009の左肩上がり、斜めポーズ


などの絵です。


これは動かすときも同様で、重心移動と同時にどちらかの肩がグッと上がる。

肩を張るポーズがキマッていると、格好いいポーズになるんですね。

マイケルジャクソンのダンス然り。



あと、僕のとっておきの1枚は、

0:31の、009後ろ向きでビーム発射の絵です。

このちょこんと突き出た尻と、内股気味の脚がたまらなくセクシー。

そして例によって肩は左上がり。


これから登場する新作素描も、肩のラインに注目してみてください。


2009-09-23

今日のチョイス

AP-11の中から8枚目のジャガー素描を選びました。
単純な線で描かれていますが、カタマリとしての存在感があります。
影をつけず、線のみで物体の奥行きや重量感を表現するという、
もしかしたら究極の3D技法かもしれませんね。


2009-09-21

実況中継

新たに木村圭市郎(以下KKと呼ぶことにします)実況中継用のブログを作りました。

KK作品について、僕の視点からいろいろ書いていこうと思います。

ジャパニメーションについての知識がほとんどなく、専門的な見方はできないので、

僕にとっての、好きな線、好きなフォルム、好きなアクション、などを基準に解説します。


まずはWORKSの説明を少し。

現在、主人公ジャガーマンの格闘素描動画は3本完成しています。


1、ジャガーマン対アーパン

2、ジャガーマン対ラオジイ

3、ジャガーマン対マオ


それぞれ2分程度のアニメーションです。カット数にして60〜70カット。

WORKSでは、その中から僕が好きなカットを抜粋し、掲載していきます。


それでは早速。


■AP-5A

アーパンのシャドー回し蹴り。

僕がこのアクションの中で注目するのは、腕の動きです。

腕を、下ろした状態(1コマ目)から、まずは胸の前で閉じる(4コマ目)。

次に、グッと開き(6コマ目)、そこから蹴りへ。

9コマ目の、右肩を張り、首を前に出すポーズ、好きです。

そして2発目の蹴りに入りますが、ここからがポイント!

13コマ目と14コマ目。

顔の向きは変わらず、状態だけグッと回転、13で曲げた左腕は14で一気に伸びる。

この14の「開き」に備え、13の左手はグーになっています。

そしてラストカット。肩張り。左手首の返しにも注目。

伸縮と緩急、トリッキーな腕の動きによって、踊るようなアクションに仕上がっています。


へたな解説でスミマセン。

おいおい慣れていきたいと思います。


(下にある一回目の記事は、僕のブログ(キムウィルス)に書いたものの再録です)

2009-09-16

KK-SPIRIT 始動!





「素描動画」というジャンルを勝手に作りました。

略して「素動」。または「素描アニメ」、「ドローイングアニメ」かな。
アニメーターが描く動画の中の一枚一枚の絵って、
素描作品として芸術的価値があるんじゃないか。
素描の連なりである動画を、ストーリーに関係なく、素描動画作品として、
アクションのみを見せる発表の仕方があってもいいんじゃないか。
そんなことを考えたんです。

フレッドアステアの、左足をスッとスライドさせる直前の、
腰のしなり具合いがたまらなく好きで、そこだけ繰り返し見てしまう。

ジーンケリーの、ダイナミックな両手を広げながらのターンを何回も見てしまう。

マイケルジャクソンが、ビリージーンで帽子を放り投げた瞬間の表情が
たまらなくセクシーで、何度見ても飽きない。

そんなことって、ありませんか? 僕にはあります。

たとえば。
KK-SPIRITのトップページに、「ラオジイ」というキャラクターが
走りながらキックを繰り出す素描動画がありますが、
僕はこの動画の中で、 ラオジイがキックの動作に入る直前に、右腕を前に突き出し、二の腕越しに敵をキッと睨み、 重心をグッと前に乗せている絵がとても好きで、何度も見てしまいます。
さらに、前傾姿勢のあとの、上体が伸び上がる動作〜右足をグイッと引く動作。
この2枚の絵があり、そこからキックにつながる瞬間が、ツボです。

かなり個人的な好みではありますが、ハマる箇所は違っても、
同じような見方をする人、 感じる人は、たぶんいるだろうと思います。

父は現在71歳。 昭和のベテランアニメーターが、自身の身体感覚のみを拠り所に、
鉛筆一本で遊び、狂ってみたら、 こんなにも若々しく、圧倒的な芸術作品に仕上がってしまう様子を、僕は実況中継していきたいと思います。

乞うご期待!